徳島大学生物資源産業学部は、地域の豊かな自然環境と産業基盤を背景に、「生物資源の持続的利用と新たな価値創造」を担う人材の育成を使命として、平成28年4月に設立され、令和8年4月に11年目を迎えました。気候変動、人口減少、食料安全保障、地域産業の再構築など、私たちを取り巻く社会課題は複雑化し、解決には科学的知見と実践力、そして多様な主体と協働する姿勢が不可欠です。本学部は、こうした時代の要請に応えるべく、教育・研究・地域連携を基に産業化を見据えた形で推進しています。
生物資源産業学部は、農学を基盤とし、工学、医歯薬学、経済産業といった多様な学問領域の結節点に位置し、それらを横断的に結びつける「ハブ」としての役割を担うことができる学部です。その理由は、生物資源というテーマそのものが、単一の専門領域では解決できない複合的な課題を内包している点にあります。
まず、工学分野との連携において、生物資源の高度利用にはバイオテクノロジー、食品加工技術、環境制御技術、スマート農業を支えるICT・ロボティクスなど、工学的アプローチが不可欠です。本学部は生物学的知見と工学技術を融合し、新たな生産システムや資源循環技術の開発を推進することで、工学領域に革新的な研究テーマを提供する基盤となります。
次に、医歯薬学分野との接点として、生物資源は医薬品原料、機能性食品、健康科学の重要な源泉です。地域の農林水産物や微生物資源から新たな機能性成分を探索し、健康寿命延伸や疾病予防に資する研究を展開することは、医歯薬学の発展に直結します。本学部は、生命科学と資源科学を繋ぐことで、医療・健康分野に新たな価値を創出する役割を果たします。
さらに、経済産業分野との関係では、生物資源を活用した地域産業の振興、商品開発、ブランド化など、地域経済の再構築に直結するテーマを扱います。生産から加工、流通、マーケティングまでを一体的に捉える視点は、産業政策や地域経済戦略において極めて重要です。本学部は、科学的根拠に基づく産業創出と地域価値の向上を担うことで、経済産業分野の中核的パートナーとなり得ます。
そして、言うまでもなく農学分野との関係は、生物資源産業学部の根幹をなす領域です。農林水産業の持続可能性、環境保全、資源循環、地域農業の担い手育成など、喫緊の課題に対し、本学部は生物資源の科学的理解と産業的応用を両輪として取り組むことで、農学の発展に新たな視点を提供します。
このように、生物資源産業学部は「生物資源」という共通基盤を軸に、農学・工学・医歯薬学・経済産業を有機的に結びつけることができる稀有な学部です。複雑化する社会課題に対し、分野横断的な知と実践を統合する場として、大学全体の中核的な役割を担うとともに、主体的に学び、地域社会や産業の発展に貢献しようとする人材の育成を目指しています。
入学後は、ディプロマポリシーに基づいた能力を身につけるべく、3つのコース(応用生命・食料科学・生物生産システム)を設け、体系的な教育課程を実践しています。徳島というフィールドを最大限に活かし、地域の企業、自治体、農林水産業者などとの連携が重要となります。学生は実社会の課題に触れ、現場での学びを通じて、自らの専門性を社会にどう活かすかを実感できます。卒業後はこうした経験を活かして、地域で活躍するだけでなく、全国・世界へと羽ばたく際にも大きな力になることを期待しています。
生物資源産業学部は、未来の社会を支える「人」と「知」を育む学部です。生物資源の可能性を信じ、地域とともに新しい価値を創造したいと願う皆さんを心より歓迎します。共に学び、持続可能な産業社会が育む豊かな未来を切り拓いていきましょう。
徳島大学生物資源産業学部長
櫻谷 英治











